「ドントブリーズ」感想。ジジイ強い。そしてキモい

あらすじ

荒廃した町から脱出したい若者三人。盲目の退役軍人が大金を持っていると聞き、彼の家に忍び込むのだが…というお話。スリラー。

「この世界の片隅に」が面白かったのでそのままもう一作見ようと選んだのがこの映画。自分でもあのすばらしい映画の後にコレかよと思わざるを得ない。

序盤

泥棒の若者三人がある家に忍び込むところからスタート。金目のものを盗むだけでなく、本に興味を示す奴、無意味に物を壊したりそこらに小便をまき散らすバカ、ゴージャスな服を身に着けてみる女とそれぞれの性格が描かれる。その人物紹介の仕方はスマートだと思った。

そしてもうちょい人物の掘り下げ。女の母親は飲んだくれ。悪そうな男を家に連れ込んだりしてる。だから妹を連れて町から出たい。バカは女の彼氏。父親が警備会社勤務でそのキーを使って泥棒をしている。真面目そうなやつは女に惚れている、という感じ。

そしてバカが故買人から退役軍人の情報を入手。退役軍人は娘を交通事故で亡くしており、その時事故を起こした金持ちからもらった慰謝料がある。その大金があればもう町ともおさらば出来る、と三人は泥棒を決意。侵入するのであった。

なぜか決行は夜。相手は盲目なのにわざわざ夜行くのかよ、と思うが「この時間なら相手も多分寝てるし!」という理由。飼っている凶暴そうな犬は睡眠薬で眠らせる。「ああこいつそのうち起きて襲ってくるな」という期待を裏切らない。

侵入も割とガバガバ。大きい音を立てたかと思えばこそこそ話をしたり。バカが爺さんの寝室に入ってペットボトルを使い睡眠ガスを発生させる。わりとうるさいけど大丈夫?部屋のテレビは娘の幼少期のビデオが流れており、おじいさんかわいそう、という気持ちに。

ジジイ恐るべし

リビングに戻った若者たち。バカが鍵のかかった扉を拳銃で撃ってこじ開ける。そして起きてくるジジイ。この時点では「もしやこれは!必死に抵抗するジジイを倒すも最終的に金庫にあったのは娘との思い出の品とかで泥棒たちは骨折り損エンドでは!」なんて予想する。全然違った。

バカから拳銃を奪い取り容赦なく殺すジジイ。ここらへんではまだ気持ちがジジイ側で「よっしゃ!やったれ!」なんて思う。女が金庫から金を盗み真面目そうな男(アレックス)と脱出を図る。金が無いことに気付くジジイ。まだジジイを応援していた。ここまでは。

脱出のため地下室に行くと監禁されている女が。ジジイの娘をひき殺したのがこの女らしい。連れて行こうとするもジジイの撃った弾が当たってしまいご臨終。「ベイビー…」と悲しむジジイ。でもあんま同情はできない。

そして部屋の明かりを落としたジジイと暗闇での攻防。ここら辺はなかなか良くて見てるこっちも息がつまる。

なんとか逃れて1階に戻るも犬。やっぱり。襲ってくる。犬怖い。ジジイも後から追ってくる。2階に上がり部屋に籠城するも突破され女は換気口へ。男は窓からふっとばされてガラス屋根の上に。ピシピシひびが入って怖い。

そのあとなんだかんだあって捕まる女。地下室で監禁される。ここでジジイの気持ち悪さがピークに達する。なんかガスバーナーでやってるな、と思ったらスポイトに入れたのは毛の混じった白濁液。事故を起こした女に亡くした娘のかわりを産ませようとしていて彼女は妊娠中だったのだ。「ベイビー…」ってそういうことかい。そして今度はヒロインに産ませようとジーンズの股をはさみで裂いて注入しようとするジジイ。キモい。さすがにドン引きする。

この展開で最初にあった同情心は雲散霧消。でも泥棒側もそんなに応援する気持ちになれないし…。唯一乗り気じゃなかった真面目くん!君だけ生きろ!他は共倒れでおk!そんな気持ちで見てました。

終わり

良かったところはジジイの怪物っぽさ。

不満は盲目のジジイはもうちょっと匂いに敏感じゃないの?ってところ。でも睡眠ガスで鼻がやられてたのかも、くらいの好意的解釈は出来る。

全体を通して勢いがあって面白かった。でも一番面白かったのはいちいちビクッとする映画館で隣に座ってたおじさんかもしれない。

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