本の感想。「お金2.0」「人間さまお断り 人工知能時代の経済と労働の手引き」

お金2.0

発売と同時に買ったのに読むのは年始になってしまった。

内容は、

  • 経済システムの5要素
  • ブロックチェーンとトークン経済
  • 価値主義・評価経済
  • 上記を受けてこれからどうなるか

と言った感じ。もともと作者のツイッターやらブログやらで話していた内容も多いので内容は割りと入ってきた。


序盤の「経済システムに必要な要素」は現実にあるサービスと比較してみたら面白い。ニコニコ動画とかは要素で見るとかなりいいサービスな気がするのにどうしてこんなことに…

ブロックチェーンとかのくだり(非中央集権・分散化)のあたりはよく分からない。説明がダメというわけではなく「これからこういうのが増えていく」と言われても形になっていないのでイメージしづらい。ICOとかもあるし今年のうちには見えてきそう。

価値主義のほうは分かりやすい。Youtuberとか存在するしね。書いてあることに納得行くしそれゆえ特に書くことがない。


最後の方に書いてあった「心はすぐに錆びる」はドキッとした。

作中では「やりたくないことを繰り返しているうちに自分は何に興味があったのかも忘れてしまう」という意味で使われている。そこで「自分がしたいことは何か、を振り返って考えよう」みたいなまとめだが、それとは別に「新しい価値観を理解しようとせず頭ごなしに否定する」みたいな意味でも受け取った。

実際に株取引とかやっていてもなかなか臨機応変に対応できず、すぐに頭が固定観念や思い込み・願望に固まるのが自覚としてあるからなおさら。

対応は「その場にとどまらず、動き続けることで自分を不安定な状態にして考え続ける必要性を作る」だと思うんだが。言うは易し行うは難し。


最後のこれからどうなっていくか、みたいな部分もすごい。

  • AI普及でカネ・モノ・ヒト余り
  • 企業と国の境界が溶けて不安定化
  • 信頼を担保する手段としてブロックチェーン
  • 人は労働の必要がなくなり価値主義へ
  • お金や物は宇宙など様々な分野の研究開発へ

など。実際にはすべて絡み合って進んで行くと考えると、とてもついていける気がしない。

最後には「お金はあくまで道具(ツール)であり、この本で理解をすすめることでこれからの役に立ててほしい」ということが書かれていて、よしもう一回最初から読んでみるか、という気にさせられる。

今すぐ出来ることは「価値主義に向けて、自分の好きなことに使う時間を増やす」くらいかな。

人間さまお断り

図書館で時間つぶしに読んでいたけど面白かったので借りてきた。

内容はサブタイトルの通り「人工知能時代の経済と労働の手引き」。

AIが普及してくるとどういう事態が予測されるか」ということが書かれてある。まあ結論に飛んじゃうとタイトル通り「人間が必要なくなる」って話なんだけど。

最後の松尾豊による日本語版解説を読めばどんなことが書いてあるか分かりやすい。

自分が面白いと思ったのはその解説で「突拍子もない」と言われている最終ページのあたり。

以下引用。

合成頭脳は、人間が必要なあいだは人間と協力して働くだろう。しかし、いずれ自分で自分を設計し、修理し、複製することができるようになる。そうなったら、人間は放っておかれるのではないだろうか。人間は「奴隷」にされるかといえば、おそらくそうはなるまい。むしろ、特別区で飼育されるとか保護されるというほうがありそうだ。そこでの暮らしはきわめて快適で便利なので、わざわざ外へ出る気にならないというわけである。人間と機械は同じ資源をめぐって競合するわけではないから、(略)彼らは人間を完全に無視して放っておくだろう。

(略)なぜなら、合成頭脳はその他どこにでも行けるからだ。宇宙空間でも、地中でも海中でも── 人間の行けないところに。

人間にはまったく申し分ないことに思えるだろう。コンピュータ・チップがどんどん縮んでスマートフォンのなかに消えていったように、機械はどんどん「引っ込んで」いきつつ、ずっと人間のために奉仕してくれるように見える。ふだんは気づかないが、人類が自分で自分を害しそうになると、かれらはそれを防ぐために介入してくる。そして初めて人間は真実に気がつくのだ──飼っているのはどちらで、飼われているのはどちらかということに。

地球は、壁もフェンスもない動物園になる。(略)

だがときおり、なにかの調子が狂ったりすると、機械の管理人がそっと直しにくる。そして人間たちは、全体の利益のためにその手助けを歓迎するのだ。

いやあ素晴らしい。自分が生きている間にこういう時代が来ないかな?

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